世界最大のスポーツ用品小売業者である Decathlon 社は、高速の Figure 4 プラットフォームと 3D Systems の3D Sprint® ソフトウェアの新たな積層機能を利用して、3Dプリントされたエンドユーザ部品の直接生産を実現しています。この積層機能により、ユーザ定義の自動ツールの組合せによる 1 つまたは複数の部品の生産が可能になり、さらにプリント準備プロセスに必要な時間が大幅に削減されます。

「部品を積層することで 100 バッチのプリントができるようになり、また、今までビルドの準備に 30 ~ 60 分かかっていたのを、わずか 6 ~ 10 分に短縮できました。積層と生産グレードの材料を組み合わせれば、Figure 4 ですぐに生産できます」

- Decathlon 社 ADDLAB、材料エンジニア、Gregoire Mercusot 氏

Decathlon 社の眼鏡のレンズとフレームをつなぐコンポーネント
Decathlon 社は Figure 4 を利用して、射撃用眼鏡のフレームとレンズをつなぐ小型コンポーネントの射出成型の問題を解決しました。

課題

積層造形による効率的な生産を検証

射撃用眼鏡のフレームをレンズにつなぐ小さな部品の射出成型の問題に対して、Decathlon 社は 3D Systems が開発した新しい 3D 積層ソリューションをテストすることを決め、積層造形の生産における評価を実施しました。Figure 4 ソリューションと積層機能の実現可能性の検証により、Decathlon 社のチームは積層造形の生産性や経済性を確認し、このソリューションは最終製品のバッチ生産に使用できると判断しました。

Figure 4 ビルドプレートいっぱいの積層 3D プリント部品
3D Sprint 積層機能を備えた Figure 4 により、バッチ生産が可能になります。

ソリューション

01 3D Sprint ソフトウェアの部品積層機能

Decathlon 社のアプリケーションエンジニアラボ (ADDLAB) は、3D Systems の Figure 4 3D プリンティングソリューションを幅広いアプリケーション (モールドのマスターパターンを含む) に使用しています。現在は、3D Systems の 3D Sprint ソフトウェアの新しい部品積層機能を用いた直接生産の容易化を検討しています3D Sprint は、自動サポート生成、生産性を最大化するために最適化された部品配置など、プリントファイルの準備と最適化に向けたツールでファイルからパターンまでのワークフローを能率化するオールインワンのソフトウェアです。新しい積層機能は、効率的なファイル準備ワークフローでユーザの大量のバッチプリントを支援します。

この積層機能を使用するには、部品とベースファイルをインポートし、積層の方向と部品数を定義し、自動ツールで連続する垂直積層レイヤとサポートを複製します。Decathlon 社のエンジニアである Gregoire Mercusot 氏によると、積層によりプリントの準備に要する時間が 80% も短縮されたそうです。以前は準備に 30 分から 1 時間かかったビルドも 6 分から 10 分で完了できるようになりました。

Mercusot 氏は、この機能の有用性は生産にとどまらないと語っています。「週に数回、複数の部品が必要なときはいつでもこの機能を使っています。生産は言うまでもなく、プロトタイピングにも非常に便利です。」

支柱形状の積層造形を示す 3D Sprint ソフトウェアのスクリーンショット
3D Sprint の積層機能は、効率的なファイル作成ワークフローで、ユーザの大量のバッチプリントを支援します。

02 量産グレードの材料

Decathlon 社は、高い剛性やプリントスピード (62 mm/時) を主な利点として挙げて、Figure 4® PRO-BLK 10 材料をこの眼鏡の機能コンポーネントのために使用しています。この高精度材料により、滑らかな表現仕上げと優れた側壁品質を持つ部品が生産できます。また、優れた機械特性と長期的環境安定性を備えているため、これまでにない品質の 3D 生産を実現します。この生産実現可能性の検証により、Decathlon 社はバッチ間の再現性と部品の機能性を確認しました。

Decathlon 社で Figure 4 積層造形を用いて生産されたエンドユーザ部品
Figure 4 の積層機能は、後処理や部品の造形に規模の効率性をもたらします。

03 プリント速度

Figure 4 は、投射ベースの積層造形テクノロジです。非接触膜技術を使用して、精度と驚異的なディテールの忠実性を超高速のプリントスピードで実現しています。Decathlon 社は、Figure 4 Modular システムを使用することで、100 個の部品の積層を 85 分で実現しました。これは 1 個の部品に置き換えれば 42 秒になります。Figure 4 Modular は、最大 24 基のプリンタモジュールと併設できる中央コントローラで構成されるスケーラブルな半自動 3D 生産ソリューションで、ビジネスの成長を支える柔軟な選択肢です。

04 後処理

Figure 4 の高密度積層機能は、後処理と部品ビルドに規模の効率性をもたらし、これにより Decathlon 社は部品のバッチを 1 つの部品と同じように処理することができます。つまり、Decathlon 社がサポートのクリーニング、硬化、除去に費やすであろう時間は 1 個の部品であれ 100 個の部品であれ変わらないということです。Decathlon 社の保護眼鏡へのアプリケーションについて言えば、100 個の部品のクリーニングは 6 分、硬化にかかる手を使わない時間が 90 分、バッチ全体からサポートを取り除く時間が 10 分です。

結果

複雑な部品のバッチ生産を容易に

  • バッチ当たり 100 個の部品

    90 分以内にプリント

    バッチ後処理

    規模の効率性を採用

  • 80% の時間の節約

    スタッキングの準備時

    ダイレクトデジタル生産

    高価な射出成形に代わるものです

Figure 4 の産業向け積層