ストックホルムを拠点とする設計事務所 Splitvision Design は、北欧で初めて 3D Systems Figure 4® Standalone 3D プリンタに投資をした会社です。この投資により、同社は連続生産に踏み切る前に驚異的な精度でフィッティングと組み立てを評価できるようになりました。同時に、Figure 4 Standalone によりプロトタイプの生産性が向上しました。

北欧の工業設計事務所 Splitvision社、Figure 4 3D プリンタを採用

北欧の工業設計事務所 Splitvision社、Figure 4 3D プリンタを採用

創業以来 30 年あまり、Splitvision Design (旧社名 Formbolaget) は、店頭販売用の物品から特注のトラック運転席まで、幅広い設計を行っています。現在では、医療技術と自動車業界の技術集約型企業の工業設計をほぼ独占的に請け負っています。Splitvision社 のユニークな点は、製造と物流に焦点を絞った、一般的な設計事務所では提供できないサービスを提供することです。

「当社は伝統的な設計事務所として創業を開始しましたが、製造と物流のステップを重視すれば、より優れた、より管理しやすい製造プロセスを実現できる様子を長年にわたって見てきました」と Splitvision Design 社の R&D マネージャー Lukass Legzdins 氏は述べています。

「以前はただ設計だけを行っていましたが、現在ではエンジニアリンング、プラニング、購買、物流まで行っています」と同氏は付け加えます。また、中国にオフィスを構え、現地の製造会社との日常的に連絡を取り合っています。他にも、品質管理とサプライチェーンの監視を行っています。全体的に、大変良好な結果が得られており、コンセプトの段階でも製造に多大な価値を付加できるようになりました。」

Figure 4 3D プリントでプロトタイプの品質を向上

製品設計には補聴器のようなデリケートな電子機器の案件も含まれる

このような完全一括請負式の契約はプロトタイプにも反映されています。PLM Group によって設置された 3D Systems の新しい Figure 4 Standalone 3D プリンタを使用して、当社はサービスのポートフォリオを拡大し、製品開発の能力を強化しています。現在、Splitvision 社は社内プリントにより、より優れた物理プロトタイプを提供しています。同時に、3D プリントで作成された高品質の部品のおかげで、射出成形ツールを発注する前に必要なデータを最適化できます。

3D プリントの使用を開始するまで、プロトタイプは手間のかかる作業でした。発泡材やプラスチック材を使用して形状や人間工学を模索していました。時には実寸大で行うこともありました。機能テスト用やカスタマーレビュー用のプロトタイプは、スウェーデンか中国のサードパーティのサプライヤーから購入していました。

「間もなくして、開発中の製品が大量に溜まり、そのすべてが 3D プリントのプロトタイプを待ち受けているかのような時期が訪れたのです。それこそが、社内用 3D プリンタへの投資を決断した瞬間でした。そして、運よく Figure 4 に出会うことができたのです」と Legzdins 氏は言います。

Splitvision社 には、光造形 (SLA) の関連技術である Figure 4 テクノロジーを使用した経験はありませんでした。SLA 部品は当社が必要とする機械的特性をほとんど発揮しないため、これまでは見過ごしていたのです。しかし Figure 4 テクノロジーには非常に興味が湧きました。

期待以上のアディティブ

Splitvision 社は数々の革新的な医療技術会社と数年にわたる取引があり、中には補聴器を製造する会社もいくつかあります。主力製品の生産ラインが最適化されているため、生産には、補聴器のケースなど関連製品も含まれていることも多いといいます。しかし、補聴器のケースは、設計も製造も難しい製品です。補聴器を保護する必要があるだけでなく、会社のブランドイメージを反映させると同時に、優れた品質と長期的な耐久性が求められるからです。

「3D Systems の Figure 4 ELAST-BLK 10 材料には、ゴムと同様の特性があります。これは当社の期待以上でした」と Splitvision社 の R&D マネージャー Lukass Legzdins 氏は語ります。

「3D Systems の Figure 4 ELAST-BLK 10 材料には、ゴムと同様の特性があります。これは当社の期待以上でした」と Splitvision社 の R&D マネージャー Lukass Legzdins 氏は語ります。

Splitvision社 が設計製造するケースには、部分的にTPE やシリコンが使用されています。柔らかい裏当て材が補聴器を所定の位置に留めて日々の摩損から保護します。しかし、TPE やシリコンの 3D プリントで良い結果を望むことはほぼ不可能です。唯一の手段はモールドを作成することですが、これは、設計を評価して潜在的なアセンブリ問題を調査するのが非常に困難です。

「PLM Group から数多くのサンプルを受け取って気が付いたことは、3D Systems の Figure 4 ELAST-BLK 10 材料には、ゴムと同様の特性があるということでした。これは、私たちの期待以上でした」と Legzdins は言います。「この材料は非常にはっきりした表面を表現できており、詳細な形状とファセットを確認できます。最も重要なのは、アセンブリプロセスを評価して、潜在的な問題を特定できることです。全般的に、形状を確認できる当社にとって非常に優れた方法であるだけでなく、当社のお客様自身でユーザーテストを実施できます。」

剛性の Figure 4 TOUGH-GRY 15 材料を使用することで、Splitvision社 は部品により多くのディテールを加えることができます。プリンターの解像度が極めて高いため、仕上げもほとんど必要ありません。

「Figure 4 のおかげで、当社は、より現実的になれたといった感じです。これまでは、ツールを発注する前に CAD ファイルにマージンをもっと加えていました。今では、3D プリントで作成したプロトタイプから以前よりもかなり多くの形状データを得られるため、開発フェーズでステップを 1 つ 2 つ飛ばすことができます。結果として、追加の変更も、ツールに合わせた調整も減ります。」と、同氏は述べています。

Figure 4 プリンタはまた、製品開発における Splitvision社の本質的な価値も反映しています。

Legzdins 氏は「お客様と共同製作を行う場合は、機能を最適化できると思われるあらゆる部分の設計と製造に当社のコンピテンスを付加したいと思っています。この知識を活用して製品の品質を新たなレベルへと高めています」と語っています。