課題
開発スケジュールを短期化、サプライチェーンを最適化して、これまでよりもイノベーションの速度を上げ、会社も顧客も喜ぶ価格を実現する。
ソリューション
3D Systems Figure 4 Modular と Figure 4 材料を使用して、部品生産を高速化および多様化する。
結果
- 数時間で機能部品を作成
- モールドの開発サイクルを 1 か月から 2 日へ短縮
- 開発を合理化してコスト効果を改善
- Figure 材料のポートフォリオの多様性により、幅広い用途に対応
フランスの Decathlon 社は、世界最大級のスポーツ用品小売業者です。レクリエーション用や競技用のグッズを幅広く販売しています。同社は 100 以上のブランドを抱えており、社内の研究開発 (R&D) チームにより、毎年多くの特許を登録しています。Decathlon 社はイノベーションで競争上の優位性を重視しており、コスト効果の高い価格で高品質の製品を推進しています。生産プロセスの最新化、サプライチェーンの最適化、売り場面積の最小化により、運用費を低く維持することで、同社はフランス国内だけでなく、世界中の市場で大きなシェアを占めてきました。
Decathlon 社の R&D を突き動かす大きな原動力となったのは、3D Systems の Figure 4® Modular と、多様性があり拡大を続ける機能材料のポートフォリオです。Decathlon 社の積層造形ラボ (ADDLAB) の材料エンジニア Gregoire Mercusot 氏によると、Figure 4 Modular を導入したことで、同社はスピード、精度、多様性の点で競争上の優位性を大いに得られたと言います。
Figure 4 は、投射ベースのアディティブマニュファクチャリングテクノロジーです。非接触膜技術を使用して、精度と驚異的なディテールの忠実性を超高速のプリントスピードで実現しています。Figure 4 Modular は、生産量に合わせて拡張できるように開発されたスケーラブルな半自動 3D 生産ソリューションです。中央コントローラが最大 24 基のプリンタモジュールと併設できるように構成されている Figure 4 Modular は、ビジネスの成長を支える柔軟な選択肢です。
モールドマスターパターンを 2 日で作成
Decathlon 社で初期に成功を収めた Figure 4 プロジェクトは、淡水魚である鯉釣りに使用するオモリの作成でした。オモリは釣り糸を投げ入れるためと、釣り針を安定させるために使用されます。プロジェクトは、Decathlon 社のチームメンバーである Gautier Destrebecq 氏が、店舗で販売されている競合他社の製品が 1 種類だと気が付いたことに端を発します。販売製品の多様化を目指し、彼は複数のモデルの開発に取り組みました。しかし、Decathlon 社のモールドサプライヤーがマスターパターンを作成できなかったため、同社は部品を作成する別の方法を探す必要がありました。
Figure 4 Modular を導入する以前なら、モールドのマスターパターンを作成するために 2 社目のサプライヤに協力を求めていました。Decathlon 社のプロジェクトの開始から終了までのスケジュールは、通常 1 か月です。そのため、Gautier 氏はこの方法を採らずに社内の ADDLAB に目を向け、モールドの作成工程に耐えうる強靭な部品をより短時間で作成できるか検討しました。部品は、180 気圧で 160˚C もの高温への暴露でも形状とディテールを保持できる必要があります。いくつかの材料をテストしたところ、超高温環境に耐性のある透明で剛性のプラスチック、3D Systems の Figure 4® HI TEMP 300-AMB が、理想的なパフォーマンスを発揮することが判明しました。
信頼性の高い材料を準備できた ADDLAB は、モールドの作成のため、釣り用のオモリを 2 日で 3D プリントしてモールドサプライヤーに送付しました。このプロセスを導入したことで多大な時間を節約できただけでなく、社内でモールドマスターパターンを作成することで、Decathlon 社は製品開発のコストをさらに削減しつつ、製品販売までの時間を短期化できました。Destrebecq 氏は「まさに、3D プリントのマジックです。設計時のストレスが軽減されたうえ、従来のやり方では不可能な目標を達成できたのですから」と語っています。
材料の多様性が R&D を全体的に推進
できるだけ多くの製品分野でイノベーションを促進するため、Decathlon 社は多様な用途と材料特性を最適に組み合わせて、Figure 4 材料の多様性を最大限に活用しています。Mercusot 氏は、Figure 4 のスピードと精度に加え、プラットフォームで材料を選択でき、柔軟性があることから、システムの需要が ADDLAB で非常に高まっていると言います。
Decathlon 社では、他にも次のような材料を使用しています。
- Figure 4® PRO-BLK 10: 最大 62 mm/時のプリントスピードと、熱可塑性プラスチックのような性質を備えています。Mercusot 氏は、Figure 4 PRO-BLK 10 は、さまざまな ADDLAB プロジェクトに実用的かつ効果的だと言います。表面仕上げの品質に優れた Figure 4 プリントを使用して、Decathlon 社は確信を持ってイテレーションを実施しています。部品例には、格納式のアタッチメントや交換可能なアタッチメントを含む革新的なアセンブリがあります。
- Figure 4® FLEX-BLK 20: 耐疲労性に優れたこの黒色プラスチックは、生産用ポリプロピレンのような外観と質感を備えており、最終的にポリプロピレンで作製発売される製品の性能を促進するために使用されています。部品例は、自転車のコンポーネントなど多岐にわたります。
- Figure 4® RUBBER-BLK 10: 変形シミュレーションに最適な低反発性で硬いこのゴム材料は、Decathlon 社の弾力が求められるさまざまな用途に使用されています。部品例として、グリップ、タイヤの溝、靴の中敷きなどのテストが挙げられます。
高品質の設計と最適化されたプロセスが、より優れた製品を生み出す
Decathlon 社のミッションは、最高の製品をできるだけ安く設計し、品質と性能に革新をもたらすことで、世界中のすべての人にスポーツを常に楽しんでもらうことです。3D Systems の Figure 4 Modular システムと材料の導入がミッションと完璧に調和し、同社のミッション達成を後押ししています。
Figure 4 プラットフォームと材料ポートフォリオの詳細については、Figure 4 材料ガイドをダウンロードしてご確認ください。