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製品の生産を行うには、さまざまな問題が発生します。問題が発生したときに役に立つのが、タクトタイムです。このタイムを活用することで、問題の原因が明らかとなり、効率的に問題解決へアプローチできます。

今回は、タクトタイムの意味やサイクルタイムとの違い・関係性などを解説します。製造業に携わり、問題に対する解決方法を探している方はぜひご覧ください。

タクトタイムとは

製品1個を作るために必要な時間のことを指します。タクトとはドイツ語で指揮者が使う指揮棒のことを意味し、均等な生産リズムを計るということが由来です。

理想値としての扱いとなるため、工場内の問題解決を行ううえでの目標とされます。このタイムを活用する主なシチュエーションとなるのは、顧客から生産してほしいと提示された個数と納期を告げられたときです。

まずは、1か月で生産するべき個数÷1か月あたりの工場の稼働日で1日で生産するべき個数を導き出します。さらに、1日で生産するべき個数÷1日の稼働時間で、1時間で生産するべき個数が明らかになります。

最終的には、1時間で生産するべき個数を、製品1個を作るために必要な時間へ直すことで算出可能です。タクトタイムが短いほど、より多くの製品を生産できるということになります。

算出後に行うことは、いまの工場内がタクトタイムを実現できる状況なのかという軸で問題を探すことです。また、この数値は納期までのスケジュール管理を行ううえでの大事な基準値となります。

タクトタイムの計算式

タクトタイムは、稼働時間÷生産するべき個数で求められます。ここでポイントとなるのは、稼働時間に休憩時間を含めないことです。

例として、月に10,000個の製品を月間25日で生産しなければならない場合で計算しましょう。この際の1日分の稼働時間は、420分(7時間)とします。実際には、1日分の生産するべき個数を10,000÷25日=400個と求め、答えは420÷400個=1.05秒となります。

つまり「製品1個を1.05秒で作るのが理想」ということです。顧客や市場のニーズによっては生産するべき個数が増えることがあり、増えれば増えるほどタイムは短くなります。

サイクルタイム・リードタイムとの違い

タクトタイムのほかにも、似たような言葉が存在します。今回は、その言葉との違いを解説します。

各定義を把握し、適切に各言葉を使えるようにしましょう。どの言葉も製造業の問題解決に役に立つ重要な要素となります。

サイクルタイムとの違い

違いは、各定義を確認すると明らかです。リードタイムとは「製品の発注〜納品までにかかるすべての時間」のことです。

また、製造業はリードタイムを細分化して考える場合があります。具体的に細分化が必要な場面は、生産面・調達面・納品面などです。確認する際は、無駄や削減できるところがないかを考え、数値を短くしながら理想値に近づけることがよいとされています。

標準作業の三要素

標準作業とは、人の動きを中心に、ものや設備のことも踏まえた最も効率のよい組み合わせを考え、生産するうえでの安全面・スピード面を最適化し、無駄なく製造する作業のことです。定める目的としては、個人差が原因で生じてしまう作業や管理のムラ防止・トラブルやエラーが出た際のスムーズな原因究明などが挙げられます。

今回は、標準作業に欠かせない三大要素について解説します。三大要素をもとに、標準作業を構築しましょう。

タクトタイム

あらかじめ算出したサイクルタイムとタクトタイムを同じ数値に近づけることが、作業改善のアプローチにつながります。実際には、現時点での標準作業を設定したうえで、両者の数値を合わせるためにPDCAを繰り返していきます。この際、無理やり数値を合わせず、可能な範囲で行うことが重要です。

実際の作業を行うときは、サイクルには含まれない付帯作業も発生するでしょう。そのため、両者を同じ数値に近づけることと同時に、付帯作業の改善も合わせて行う必要があります。

作業順序

作業者が生産の効率化を図るうえで最も効果的な順序のことです。実際には、ものの運搬・機械への取り付け・加工や組み立てなど、作業者が材料を使って製品を完成させるまでの工程をひとつずつ見直しながら作ります。

重要なポイントは、誰でも同じように行える順序であること・現時点の作業順序を考えるうえで最適な順序がすでに決まっていることです。一部の作業者のみしかこなせないような順序は、作業順序とはいえません。品質の統一・作業効率を意識しながら、作業順序を決めましょう。

標準手持ち

同じ作業を繰り返し行えるようにするために最低限必要な仕掛品のことです。人によって、必要な手持ちは異なります。そのため、過剰な生産量や作業ロスの発生などを抑えるために、標準手持ちを定める必要があります。

標準手持ちを決めるためのもととなるのは、作業順序や工場内のレイアウトです。「多すぎず少なすぎない」数値にするのがポイントです。

決められた数値に達したら、手を止める必要もあります。標準手持ち以上を生産してしまうと、問題が見えにくくなり、改善が遅れてしまいます。

タクトタイムとサイクルタイムの関係性

両者の関係性は、等しくなることが理想です。両者を同じ数値へ近づけるために、サイクルタイムを修正しながらタクトタイムへ近づけます。

顧客が提示している個数を納期に間に合わせるためには、サイクルタイムがより長いのか短いのか、この関係性を明らかにしたうえで改善をしていく必要があります。そのために、下記のような時間の長さで生じる関係性を把握しておきましょう。

より長い場合に起こる問題は、欠品や納期遅延です。改善しなければ、無理をして工場を稼働させたり、生産するべき個数を期日までに生産できない可能性があります。

一方、より短い場合に起こる問題は、余剰在庫です。生産するべき個数より多くの製品を生産できますが、言い換えると過剰に在庫ができてしまうということにもなります。

納期遅延や余剰在庫、両者の関係性で起こる可能性のある問題点は変わります。両者の関係性を把握しておくことで、スムーズな問題解決が可能です。問題を確認するためにも、両者の関係性を活用しましょう。

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まとめ

今回は、タクトタイムの意味やサイクルタイムとの違い・関係性などについて解説しました。タクトタイムは、生産効率の向上のために重要な役割を果たしています。また、問題解決のためには、タクトタイムとサイクルタイムを活用し、PDCAを繰り返すことが重要です。

もし上手くいかない場合は、3D SYSTEMSへぜひ相談してみましょう。3D SYSTEMSでは、金属やプラスチックなどの部品を製造できる3Dプリンターを提供しています。

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