Idaho Steel 社は、機械製造メーカーです。同社は、ユニークな業界にサービスを提供し、自社の機械用に前例のない部品を非常に迅速に製造する方法として 3D プリンティングを採用していることを除けば、世界中の他の企業とそれほど変わりません。

Idaho Steel 社は、3D Systems ProX 500 SLS 3D プリンタを購入して、製造機械向けに主要生産部品を製造しました。ProX 500 は航空宇宙、自動車、医療、消費財、産業機械など幅広い用途向けに、すぐに使用できる機能部品や完全なアセンブリを生産しています。射出形成で製造された部品の品質に匹敵する、あるいはしのぐ部品の作成には、高耐久性ナイロン材の DuraForm ProX を使っています。

Idaho Steel 社のマーケティング・セールスマネージャ、Jon Christensen 氏は次のように述べています。「SLS 3D プリント機能を活用することで、優れた強度と耐久性を持つ部品の設計に役立ちます。完成した商品が頑丈なプラスチックでできていることは、部品を「プリント」した事のない人にとって想像しがたいことです。また、従来の機械加工では得ることが出来ない強度を持つ部品の設計も可能となります」

品質重視の姿勢

アイダホフォールズで 1918 年に創業した Idaho Steel 社は、ジャガイモを様々なサイズや形に加工するために使用される機械の製造、保守、およびカスタマイズを行っています。最近、フライドポテト、ポテトサラダ、マッシュポテト、テイタートッツを食べたなら、それらは Idaho Steel 社の機械で作られた可能性が高いでしょう。同社によると、1960 年代に製造された Idaho Steel 社の設備が世界中でフル稼働している例も珍しくないそうです。

Idaho Steel 社は、カスタマイズを重視し、多様な顧客ニーズに対応しているため、生産品質の 3D プリンティングに完璧にフィットしています。

Idaho Steel 社で 3D プリントされた工作機械

Idaho Steel 社の CEO である Alan Bradshaw 氏は次のように述べています。「当社は、お客様に合う形状を素早く作成する方法を考え出す必要がありました。そして様々な選択肢を検討した結果、3D Systems の機械を購入することに決めました。それ以降、この機械で何百もの部品をプリントし、当社の機械に使用しています」

Idaho Steel 社がスピードのために品質を犠牲にしないことは、当初から理解されていました。

「当社は、会社の名前を付けて送り出す機器の品質に大きなこだわりを持っています」と Christensen 氏は言います。「当社は完全な製造工場であり、競合他社が下請け業者に依存しているのに対し、当社は個々の部品の製作方法と組み合わせ方法を制御しています。3D プリンティングを使用すると、個々の部品をより細かく制御できるため、最終的には優れた機器を非常に短期間で提供できるようになります」

より優れた製品を劇的に短い期間で

Idaho Steel 社の 3D プリント向け主要用途の 1 つは、ポテト製品をさまざまな形状に形成する Nex-Gem Former マシン用の形成インサートおよびピストンのカスタマイズです。以前の形成インサートおよびピストンは 5 個のパーツで構成されており、プラスチックから削り出されてから 25 個以上のファスナで一緒に保持されていました。複数の CNC 操作と手動のアセンブリで 16 セットのピストの形成が完成するまでに 250 時間 (25 営業日) を要していました。

3D プリントされた機械の SLS 部品

今日では、ProX 500 マシンを使用して、同じ数の部品をほぼ無人で 90 時間連続して作成できます。

Christensen 氏は次のように述べています。「この機械は一晩中または週末の間ずっと稼働させることができ、形成ピストンのために必要な手作業はたったの 3~4 時間です。3D プリンティングによって、時間を節約できただけでなく、この作業でふさがっていた CNC 機械の時間を 25 日分も解放できました」

形成インサートおよびピストンは、3D Systems の食品安全性の高い DuraForm ProX 材料を使用して、3D プリンタで完全な単一アセンブリとして製造されています。

Christensen 氏は次のように述べています。「SLS 3D プリント部品の強度と耐久性は、3D プリンティングによって CNC フライス加工の製造上の制約がなくなった結果として得られたものです。一般的には、その制約のために部品をボルトで固定しなければならないことが弱点または潜在的な問題点とされています」

「「単一部品」方式のより大きなメリットは、おそらく衛生面でしょう。当社は食品製造機器を製作しています。あらゆる部分で保護領域を取り除き、締め具のような潜在的な汚染リスクを排除できれば、それは大きなプラスになります。また、締め具を締めすぎて部品を破損してしまうという人的要因も常に存在します」

3D プリンティングの採用に熱意

Idaho Steel 社が 3D プリンティングによって変換したもう一つの部品は、ホッパーやビンの材料レベルを検知して制御システムに伝えるレーザーの筐体です。以前は、この部品の製造を他社に委託していましたが、その品質が Idaho Steel 社の基準に達していませんでした。

Idaho Steel 社が ProX 500 でこの部品のプリントを開始すると、大幅な改善が見られました。センサーにアクセスしやすいように上部の開口部を大きくし、角を丸くするとともに、センサーにアクセスする際にねじぶたを置き忘れないように、筐体とねじぶたをプラスチックチェーンでつなげる単一の部品として製造しました。

プロトタイプ容器も SLS 3D プリンティングを使用して改良および反復

Christensen 氏は次のように述べています。「3D プリンティングでより優れた部品を作成する新しい手法が常に出現し、当社のプロセスの柔軟性が大幅に向上しています。新しいスクレーパ、キャップ、プラグを次々に作成しています。それらは派手なものではありませんが、普通は単純ながら時間のかかる部品の CNC フライス加工に機械がかかりっきりになるはずです」

Christensen 氏は、3D プリンティングと CNC を、新しい部品を作成するための補完的なツールと見なしています。3D プリンティングは、新しい設計のプロトタイピング、より優れた少量生産の部品やアセンブリの作成、既存の機械に合わせた部品のカスタマイズなどに最適です。一方、大量に生産されるシンプルな設計や大きな部品の場合は、CNC が今でも最適な選択肢です。

「当社の機械オペレータは、3D プリンティングの採用に熱心に取り組んでおり、3D プリンタで何ができ、それをどう活用できるかに興味を持っています。そして、3D プリントした方が良いと感じた部品を私たちのところに持って来るのです」

すべては想像力次第

Christensen 氏によれば、Idaho Steel 社は特殊な機械を製造していますが、ほとんどすべての機械工場で 3D プリンティングの恩恵を受けており、特に厳しい納期で高品質の部品を納品するという極めて重要な責務に関して大きなメリットがあるようです。

Christensen 氏は次のように述べています。「機械加工業界の大きな障害の一つはリードタイムです。お客様が機器の一部分について好みのサプライヤを持っていても、そのサプライヤがプロジェクトの納期までに納品できない場合、お客様は別の方法を取らざるを得ません」

「リードタイムの制約の良い例として、当社の形成ピストンがあります。お客様がプロジェクトの承認を得る際には、すぐにこれらの部品が必要になりますが、その形状がどうなるかは想像もつきません。かなり複雑な形状になることもあり、CNC 機械を 1 か月占有する可能性もありますが、ProX 500 を使用すれば、その時間を 1 週間に短縮できます」

迅速な納品、高い品質、優れたカスタマイズ、高い信頼性...。どの機械製造業者も、自社の機械でどのような特殊な製品を製作する場合でも、これらの目標に共感を寄せることができます。

Idaho Steel 社の CEO である Bradshaw 氏は次のように述べています。「当社は、もはや標準的で伝統的な機械加工ツールに制限されることはありません。当社を制限するものは、設計グループの想像力と創造性だけです」