VAULT 社は、高度な構成とカスタマイズが可能なソリューションを提供する、タブレット用エンクロージャの代表的製造メーカーです。店頭販売 (POS) 業界で 20 年強の経験を有する VAULT 社は、業界での知識を設計から製品化までのアジャイルなワークフローに結び付け、優れた品質と独自にブランド化した POS 用スタンドとエンクロージャを生産することで、増大するニーズに応えています。
課題
最終製品の設計、承認、モールドの作成、生産を 2 か月以内に完了する。
ソリューション
設計時の意思疎通と生産前プロセスを迅速に追跡できる 3D Systems の ProJet® 7000 HD プリンタと材料。
結果
- 完全に機能するプロトタイプを 2 週間で提案、承認を取り付ける
- プロトタイプの精度によりツール製造と後工程の時間を短縮
- パッケージング設計を活発化
- 透明の材料により設計上の問題をより早く検討して最適化することが可能に
VAULT 社のプロセスで核となるテクノロジーは、3D Systems の光造形 (SLA)、 ProJet® 7000 HD 3D プリンターです。同社のプロジェクトのタイムラインが益々短縮される一方、本機の用途は拡大を続けています。VAULT 社は、コンセプト実証から最終コンセプト、モールドとツーリングの設定、パッケージングまで、試作工程全般で ProJet 7000 を使用しています。その主要な理由の一つがスピードです。「その速さにはすっかり惚れ込んでいます」VAULT 社のエンジニアリング担当兼副社長、Quentin Forbe 氏は語ります。
しかし、スピードがすべてではありません。Accura® ClearVue™ 材料の透明性により、VAULT の部門間だけでなく、エンドカスタマーとのコミュニケーションも改善されています。また、 3D Systems の SLA プリントがもたらす表面の仕上がりと精度によりツーリングの情報が得られるため、投資への確信が高まり、タイムラインを短期化できます。
数十億ドルの取引を見込めるカスタマーから短期のタイムラインで大型案件の打診を受けた際、VAULT 社に ProJet 7000 をテストする機会が訪れました。2 か月以内にカスタマイズされた最終製品の設計、承認、モールド作成、生産を行う必要がありました。当時のことを思い起こしながら、Forbes 氏は「とてもじゃないが無理難題に聞こえた」と言います。しかし、VAULT 社は見事にやってのけました。
高速で機能的な 3D プリントがカスタマーの承認を早める
12 月中旬、VAULT 社は、新たなコンセプトの考案を任されました。このコンセプトは、2 月初旬に開催される展示会に間に合うよう最終化および納品する必要があります。同社はすぐに設計に取り掛かり、その過程でプロトタイプの 3D プリントを実施しました。「ProJet 7000 の作業スピードのおかげで、プロジェクトでこの結果を達成できたのです」と Forbes 氏は語ります。
クリスマス直前には、VAULT のチームは完全な機能性を備えた 3D プリント製のコンセプトモデルを携えて、カスタマーとミーティングを行っています。「当社のクライアントは、わずか 2 週間前に打ち合わせた内容から当社が完成させた試作品の表面の仕上がり、品質、全体的な水準の高さに面食らっていました。また、プリントモデルには何の後処理も施していません。プリンタから創出された状態のモデルが、クライアントを心を魅了したのです」と同氏は語ります。
透明な材料が設計に関する打ち合わせを促進
3D Systems の SLA のもう一つの利点は、利用可能な材料の品揃えです。Forbes 氏は、VAULT 社では特に、透明樹脂の Accura ClearVue が設計の最適化に大いに役立ったといいます。カスタマーから新たな機能の追加要望があると、VAULT 社は新しいコンポーネントを透明材料で頻繁にプリントして、何が機能して何が機能しないか、全員で確認するようにしています。Accura ClearVue で作成するプロトタイプは、問題を解決するため、さまざまなメカニズムと必要なスペースを完全に理解して、結果を改善するのに役立ちます。
同氏はまた「部品が最終的にどのように組み立てられ、フィットするのか、お客様が必ずしも理解できるとは限りません。そのため、透明の材料でプリントできるということは本当に実用的で有益なのです。部品を透かし見ることができれば、もう話し合う必要はありません。解決策と問題解決があるのみです」といいます。
SLA プロトタイプによりモールドの製造とパッケージングを高速化
クライアントへのプレゼンで成功を収めた VAULT 社は、次のステップに移行する承認を取り付けます。同社はモールドを順調にカットできたといいます。Forbes 氏はすかさず付け加えました。「その方法は企業秘密です!」しかし、3D プリント製のプロトタイプをその段階で利用できたのは、非常に有益だったといいます。VAULT 社は、最終生産でプラスチック射出成形とアルミニウムダイキャスト用に 2 トンのモールドに頼っています。3D プリントされたプロトタイプは、意思の疎通を促進して全員が理想とする結果に対して同調していることを確認するため、モールド製造メーカーに送られます。
3D プリントされたプロトタイプは、モールドの製造メーカーがモールドの作成を早め、箔押しなどの後工程の設定を加速するのに役立つ参考資料の役割を果たします。Forbes 氏の説明によると、箔押しは極度に薄く、正確に位置を定めるためには精度が求められるため、通常、このステップは位置決定に生産部品を使用できるようになるまで待つ必要があるそうです。同社の場合、SLA プロトタイプの精度が非常に高いため、このステップを予定よりも早く準備することができます。
Forbes 氏は次のように語ります。「ProJet 7000 で達成できたスピードとソリューションのおかげで、顧客からの承認を迅速に得ることができ、開発を早急に開始し、モールドの製造時間を短縮することができました。また、プロトタイプをパッケージング設計の基礎として使用することができたうえ、完成した生産部品はパッケージと完璧にフィットしたのです」
早くて効果的なトレーニング
VAULT 社が単独で ProJet 7000 HD を使用した時のことを振り返ると、設定して運用を開始するまでそう長くはかかっていません。Forbes 氏によれば、同社は実際、サンプルプリントのトレーニングの後、躊躇なく大規模プロジェクトを開始しています。「ProJet のおかげでプロジェクトのスピードが瞬く間に時速 0 マイルから 100 マイルに加速した感じです。これは 3D Systems のトレーニングがいかにわかりやすく、プリンタの信頼性がどれほど高いかという証拠ではないでしょうか。トレーニングとプリンタの設置を終えたら、すんなりと非常に大規模で長期におよぶプリントを直ちに開始したのですから」
新たなビジネスを獲得できる成功
VAULT 社における 2 か月におよぶプロジェクト期間が終了し、同社のカスタマーは予定通り製品の発売を開始することができました。Forbes 氏は「カスタマーは 110% の力で応援してくれました。最高のサクセスストーリーです」と語ります。実際、プロジェクトは見事に功を奏し、VAULT 社は次の実施に向けて準備中です。
高品質の SLA プリントの効果を営業会議で目の当たりにした VAULT 社のビジネス開発マネージャー Andrew Cagle 氏は、3D Systems のテクノロジーにおかげで新規クライアントを獲得できたといいます。Cagle 氏によれば、ProJet 7000 で製造する製品により「我々は業界のエキスパートであり、リーダーであり、使用しているテクノロジーは業界最先端のものだ」と実証できるといいます。
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