• ペンシルベニア州立大学、アリゾナ州立大学、および NASA グレン研究センターが主導する研究プロジェクトの基礎となる 3D Systems の用途に関する専門知識とテクノロジ
  • 宇宙用途向けの新しいチタンおよびニチノールパッシブヒートパイプを積層造形で実現。重量を 50% 削減し、より効率的な熱管理が可能に
  • 研究者は、キューブサットの熱管理に関する最先端技術を進歩させている。積層造形された初の形状記憶合金 (ニチノールラジエータのつを用いて、展開面積と収納面積の比率が倍に増加すると予測されている
  • 3D Systems のソリューションは、宇宙用途における積層造形の採用を加速。同市場は、2030 年までに 40 億ドル規模に達すると予想されている

サウスカロライナ州ロックヒル、2025 3D Systems (NYSE: DDD) は本日、アメリカ航空宇宙局 (NASA) が支援するつのプロジェクトにおいて、ペンシルベニア州立大学およびアリゾナ州立大学の研究者と協力し、現在の熱管理ソリューションに代わる画期的な技術の開発を目指していることを発表しました。宇宙空間における激しい温度変化は、宇宙機の繊細な部品に損傷を与え、ミッションの失敗につながる可能性があります。ダイレクト金属プリンティング (DMP) テクノロジ、カスタマイズされた材料、および Oqton 3DXpert®ソフトウェアで構成される 3D Systems の優れた積層造形 (AM) ソリューションと、用途に関する深い専門知識を組み合わせることで、次世代の衛星や宇宙探査のニーズに応える高度な熱管理ソリューションを設計しています。ペンシルベニア州立大学、アリゾナ州立大学、NASA グレン研究センターの研究者が[1] 3D Systems のアプリケーションイノベーショングループ (AIG) と共同で進めたこのプロジェクトにより、チタンで積層造形された熱放散ラジエータに埋め込む高温対応パッシブヒートパイプを製造するプロセスが開発されました。これらのヒートパイプラジエータは、現在の最先端のラジエータと比較して、面積あたりの重量が 50% 軽量であり、動作温度も高くなっているため、高出力システムでより効率的に熱を放射できます。さらに、ペンシルベニア州立大学と NASA グレン研究センターの研究者が 3D Systems  AIG と共同で進めたプロジェクトでは、[2]加熱時に受動的に作動して展開できるニッケルチタン (ニチノール形状記憶合金を使用した初の機能部品のつを積層造形するプロセスが生み出されました。このパッシブ形状記憶合金 (SMA) ラジエータは、現在利用可能なソリューションの倍の展開面積と収納面積の比率を実現すると予測されており、キューブサットの限られた容積内で、将来の高出力通信および科学ミッションを可能にします。これらのラジエータを衛星などの宇宙機に搭載すると、動作電力を高め、繊細な部品への熱ストレスを軽減し、故障を防ぎ、衛星の寿命を延ばします。

図 1: a. 分岐ヒートパイプネットワークを内蔵した、積層造形による高温対応チタンサーマルラジエータのプロトタイプ (75×125 mm および 200×260 mm のパネル); b. ラジエータの X 線 CT スキャン。受動的な流体循環用の内部多孔質ウィッキング層を示している。; c. ペンシルベニア州立大学博士課程の学生、Tatiana El Dannaoui 氏が、熱真空試験施設でラジエータのプロトタイプを設置し、宇宙環境での動作をシミュレートしている。; d. 真空チャンバ内で動作するヒートパイプラジエータの熱画像 (画像提供: ペンシルベニア州立大学)。

ヒートパイプは従来、効率的な熱伝達のために流体を受動的に循環させる多孔質の内部ウィック構造を形成するための複雑なプロセスで製造されていました。Oqton  3DXpert®ソフトウェアを使用することで、ペンシルベニア州立大学、アリゾナ州立大学、NASA グレン研究センター、3D Systems のプロジェクトチームは、ヒートパイプの壁に一体型の多孔質ネットワークを埋め込み、その後の製造工程とそれに伴うばらつきを回避しました。3D Systems  DMP テクノロジを用いて、チタンおよびニチノール製のモノリシックヒートパイプラジエータが製造されました。チタン水ヒートパイプラジエータのプロトタイプは、230°C の温度で正常に動作し、重量は 50% の軽量化 (6 kg/m2 以上に対して 3 kg/m2に成功し、宇宙用途における熱伝達効率と打ち上げコスト削減に関する NASA の目標を達成しました。

また、ペンシルベニア州立大学、NASA グレン研究センター、3D Systems のチームは、形状記憶合金を使用して受動的に展開されるラジエータを 3D プリントするプロセスを開発し、金属 AM が持つ可能性の限界に挑戦しています。これらの材料の化学的性質を調整することで、加熱によって形状を変化させることができます。SMA は、疲労することなく繰り返しの変形サイクルに耐え、優れた応力回復性を発揮します。チームは再び 3DXpert を使用して、ラジエータの展開可能なスポーク構造を設計しました。次に、3D Systems  DMP テクノロジを使用して、ニッケルチタン形状記憶合金のニチノール (NiTi)  3D プリントされました。この装置は、衛星などの宇宙機に搭載すると、内部の流体によって加熱されて受動的に作動、展開するため、宇宙空間でモーターやその他の従来の作動装置を使用する必要がなくなります。チームが開発したパッシブ形状記憶合金ラジエータは、展開面積と収納面積の比率が現在の最先端技術の (2 倍に対して 12 )、重量が 70% 軽量 (19 kg/m2 に対して 6 kg/m2 未満) という画期的な進歩をもたらします。

図 2: a. コンパクトに収納された形状から展開するラジアルヒートパイプの分岐部を備えている、積層造形された形状記憶合金 (SMA) ラジエータのコンセプト。; b. 高順応性ベローズヒートパイプアームを備えたプロトタイプの SMA デモ機。; c. SMA 分岐ベローズヒートパイプの熱画像。ほぼ等温の動作を示している (画像提供: ペンシルベニア州立大学)。

3D Systems との長年にわたる研究開発パートナーシップにより、航空宇宙分野における 3D プリンティングの利用に関する先駆的な研究が可能になりました」と、ペンシルベニア州立大学准教授の Alex Rattner 氏は述べています。「航空宇宙工学と積層造形の両分野における総合的な専門知識により、最先端とみなされる技術の限界を押し広げる先進的な設計戦略の探求が可能になっています。3DXpert のソフトウェア機能と 3D Systems  DMP プラットフォームの低酸素環境を組み合わせることで、性能が飛躍的に向上した新しい部品を独自の材料で製造できるようになります」

3D Systems は、航空宇宙業界を変革する積層造形ソリューションの開発において、数十年にわたるリーダーシップを誇っています」と、3D Systems の航空宇宙および防衛担当副社長、Mike Shepard 博士は述べています。「宇宙環境における熱管理は、当社の DMP テクノロジの理想的な用途です。ペンシルベニア州立大学、アリゾナ州立大学、および NASA グレン研究センターのチームと共同で実施したこれらの最新プロジェクトは、宇宙機用途の熱管理における最先端技術を推進する、軽量で機能的な部品を製造するための当社の DMP テクノロジが持つ可能性を実証しています。熱管理は、非常に一般的なエンジニアリング上の課題であり、DMP プロセスは、航空宇宙、自動車、高性能コンピューティング/AI データセンターなど、多くの業界に効果的なソリューションを提供できます」

Research and Markets 社によると、[1]航空宇宙産業における積層造形の世界市場は 2023 年に 12 億ドルと推定されていましたが、2030 年までに 38 億ドルに達すると予測されています。積層造形は、軽量化と性能向上を実現した耐空性部品の製造を可能にし、大きな影響を与えています。過去 10 年間で、3D Systems は航空宇宙業界のリーダー企業と協力し、宇宙飛行用の 2,000 個以上のチタンまたはアルミニウム合金の構造部品、および 200 個以上の重要なパッシブ RF フライト部品を製造してきました。現在、3D Systems 製のフライト用ハードウェアを搭載した 15 機以上の衛星が軌道上に存在します。詳細については、当社のウェブサイトをご覧ください。

 

将来の見通しに関する記述

本リリースの特定の記述は、過去または現在の事実の記述ではなく、1995 年米国民事証券訴訟改革法 (Private Securities Litigation Reform Act of 1995) の意義の範囲内における将来の見通しに関する記述です。将来の見通しに関する記述には、当社の実際の結果、業績または成果が過去の結果あるいは将来の見通しに関する記述によって明示または暗示される将来の結果または予測と大幅に異なる可能性がある既知および未知のリスク、不確実性およびその他の要因が含まれます。多くの場合、将来の見通しに関する記述は、「確信する」、「信念」、「期待する」、「可能性がある」、「はすである」、「推定する」、「意図する」、「予期する」または「予定である」などの用語あるいは類似用語の否定形により特定できます。将来の見通しに関する記述は、経営陣の信念、仮定、および現状の期待に基づくものであり、ビジネスに影響を与える事象や傾向に関する会社としての信念や期待を含む場合もあり、必ずしも不確かなものではありませんが、多くは会社に管理できる範囲を超えるものです。3D Systems の米国証券取引委員会への定期提出書類の見出し「将来の見通しに関する記述」および「リスク要因」に記載されている要因、およびその他の要因により、実際の結果は将来の見通しに関する記述に反映または予測された結果と大幅に異なる可能性があります。経営陣は将来の見通しに関する記述に反映された期待が合理的であると確信していますが、将来の見通しに関する記述は将来の業績や結果を保証されるものでも、信頼されるべきものでもありません。また、そのような業績や結果が達成される時期を正確に示すものであるとは必ずしも証明されません。記載された将来の見通しに関する記述は、記載日時点のものです。3D Systems は、将来の展開、その後の出来事または状況、あるいはその他の結果にかかわらず (ただし法令に別に定めがあるものを除く)、経営陣または経営陣に代わって示された将来の見通しに関する改訂を更新または見直す義務を負いません。

3D Systems について

およそ 40 年前、Chuck Hull の好奇心と製品設計方法および製造方法の改善への意欲が、3D プリンティング、3D Systems、そして積層造形業界を生み出しました。それ以来、その同じ情熱が、3D Systems のチームを刺激し続け、お客様と協力しながら、業界のイノベーションのあり方を変える努力を続けています。総合的なソリューションパートナーとして、医療や歯科、航空宇宙、宇宙および防衛、輸送、モータースポーツ、AI インフラストラクチャ、耐久消費財などの高付加価値市場に、業界をリードする 3D プリントテクノロジ、材料、ソフトウェアを提供しています。各用途固有のソリューションは、より良い未来に向けて製造業を変革するという共通の目標を達成するために努力する当社社員の専門知識と情熱によって実現されています。同社について詳しくは、www.3dsystems.com をご覧ください。

# # #


 


[1] NASA STMD 80NSSC22K0260 (https://tfaws.nasa.gov/wp-content/uploads/TFAWS2024-PT-3.pdf)

[2] NASA 80NSSC23M0234 (https://govtribe.com/award/federal-contract-award/cooperative-agreement-80nssc23m0234)

[3] 航空宇宙業界に革命を起こす: 2030 年までに積層造形が業界をどう変革するのか

(2025 )