Jay Leno’s Garage は 3D Systems のソリューションを使用して 10 分の 1 のコストでクラシックカーの部品を交換

Jay Leno 氏は、古い車を受け入れることは古い技術を受け入れることを意味するのではない、ということを最初に示すことになるでしょう。実際、Leno 氏の古い車への愛から、最近レストアされた彼の 1916 Owen Magnetic の場合と同様に、彼のとっておきのカーコレクションを走行可能状態に維持するため、新しい技術を熱心に探求し続けています。The Tonight Show の元ホスト役であり現在は CNBC の Jay Leno’s Garage の人気出演者である Leno 氏は、彼のアンティークハイブリッドカーのバルブカバーに 1 世紀を超える年月分の腐食があるため、オリジナルより優れているとは言わないまでも、オリジナルと同じぐらいに機能する交換部品を、多額の費用をかけずに調達する必要がありました。Leno 氏のチームは、3D Systems のリピート顧客であり協力者でもあることから、デジタルワークフローを使用し、改良された新しいバルブカバーをリバースエンジニアリングしてから、3D Systems オンデマンド製造に部品を送り、3D プリントによるインベストメント鋳型パターンの製作を依頼しました。最終的に、3D Systems のエンドツーエンドの製造ソリューションにより、Leno 氏のチームは老朽化したバルブカバーを従来の方法の 10 分の 1 のコストで置き換えることができました。

古い車を維持するための課題は、車が 100 歳の誕生日を迎える前にメンテナンスするのが普通です。数十年後、交換部品が品薄になり、部品価格が上昇します。修理の難しさと部品コストから、一世紀を生きぬいた車は、通常、博物館やプライベートコレクションに委ねられ、静止した美しさとして引き継がれていきます。しかし熱心な自動車愛好家である Jay Leno 氏は、彼が所有する市販のガス電気ハイブリッド車の先駆けである 1916 年製のOwen Magnetic の運命を、これでは断ち切れないと決意したのです。

彼の Owen Magnetic を走行可能な状態に維持するため、克服する必要のある大きな課題を Leno 氏と彼のチームは抱えていました。「私達が修復を始めたとき、エンジンクーラントの通路となるバルブカバーがスイスチーズのようになっていました」と Leno 氏は語っています。「この部品が廃品置き場で見つかるはずはありません。オリジナルの部品を観察すると、以前にエルマーの接着剤から JB ウエルドまで、ありとあらゆるものを使って修理しようとして失敗した痕跡がありました」

バルブカバーの修理のためのより良い解決策を見つける仕事は、Leno 氏のチーフエンジニアである Jim Hall 氏の肩にかかっていました。Hall 氏は難易度の高いカスタムカー修理の仕事に慣れているため、常に最新の技術を取り入れ、数時間で解決することができたのです。「私達にとってオリジナルのバルブカバーを修理することは現実的な選択肢ではありませんでした。そのため、私のアプローチは、何らかの新しい技術の助けを借りてオリジナル部品の機能を拡張することでした」と Hall 氏は述べています。

リバースエンジニアリングのワークフローは、FARO® Design ScanArm を使用してオリジナルのバルブカバーを 3D スキャンし、リバースエンジニアリングソフトウェアの Geomagic DesignX™ に取り込むところから始まりました。赤いレーザーラインスキャナと違って、青色のレーザーラインスキャナは、オリジナル部品の黒い面と研磨された面の両方を単一のパスでスキャンできます。そして、点群データが 3D Systems の 3D Modeling Services チームに送信され、3D スキャンデータが最終的な CAD モデルに変換されました。

3D Systems の技術者は Hall 氏と協力して、オリジナル部品の性能と美観の向上に努めながらも、100 年前の鋳造が醸し出す手作りの本物感を維持しました。最終的な改修の多くは、Geomagic Design X の独自のツールセットにより実現可能になりました。これにより、3D Systems の技術者がオリジナル部品の腐食した部分と穴の開いた部分を滑らかなサーフェスに置き換えると同時に、デザイン要素をきれいに抽出して最終的な外観を高めることができました。

たとえば、「Owen Magnetic」という名前がバルブカバーの外面上に浮かび上がっており、各文字は文字列の上下の境界線内に合わせて徐々にサイズが小さくなるようにデザインされています。オリジナルのデザインでは、ワックスシートから手で切り取り、マスターワックスパターンに張り付けることによって各文字が作成されていたようです。そのため、オリジナル部品の文字列には、個々の文字そのものと、境界線内の文字の全般的な並びの両方に不完全な部分が多数ありました。Hall 氏は不完全な文字の本物感を維持しながら、並びを修正するための支援を 3D Systems に依頼しました。3D Systems の技術者がその作業を堅実に実施し、手作りによる不完全さを新しく改良した定義線に沿って配置することによって、最終的な部品にオリジナルよりも洗練された外観が与えられました。 

機能面でも 3D Systems チームが Hall 氏と協力し、大きく浸食された部品内部の特徴を再設計しました。Hall 氏の要求に従い、3D Systems の技術者はいくつかの構造的特徴の厚みを増しそれらの接続幅を広げることによって、それらの浸食耐性を高めました。最後に、技術者はマニホールド取り付け面に数ミリメートルを付加しました。これは、表面を滑らかにしてガスケットの密封性能を高め、クーラント漏れを防ぐために実施する後工程の正面フライス加工に対応するためです。

バルブカバーデザインの準備が完了すると、3D Systems のオンデマンド製造チームは Geomagic Design X からソリッドモデルをエクスポートし、それを積層造形ソフトウェア 3D Systems 3D Sprint™ で開きました。3D Sprint の高度なメッシュ作成 / 編集ツールセットを使用して、ソリッドモデルを詳細なメッシュに変換した後、鋳造される金属合金の収縮係数を考慮してスケーリングしました。そして、3D Systems の技術者はビルドするプリントを光造形 (SLA) QuickCast® パターンとしてセットアップしました。QuickCast パターンは、インベストメント鋳型専用に設計されており、主に六角形のサポート構造の内部ネットワークを含む中空ビルドです。中空ビルドにより必要な材料の量が減少し、QuickCast パターンの内部形状により排水およびバーンアウトが促進されます。最終的なプリントは 3D Systems ProX® SLA 800 プリンタで Accura® CastPro™ 樹脂を使用して実行されました。

「当社の SLA 3D プリントは、あらゆる 3D プリントプロセスで最高レベルの精度を提供します」と 3D Systems の地域セールスマネージャである Cyle Caplinger 氏は述べています。「当社の SLA サポート構造は溶解ではなく引き離すことができるため、3D Systems の SLA は最小限の後処理のみを必要とし、優れた表面仕上げが得られることから、完璧な鋳型パターンとなります。」実際、Caplinger 氏は、インベストメント鋳型の鋳造工場が 3D Systems の QuickCast パターンの品質に大きな感銘を受けたため、Owen Magnetic 用の最終的なマニホールドの納入後に国際的な鋳造競技会に提出する別のパターンを依頼したと述べています。

3D プリント後、QuickCast インベストメント鋳型パターンは、太平洋北西部の鋳造工場である SeaCast, Inc. に納入されました。SeaCast社 では 3D プリントされた鋳型パターンを使用してアルミ鋳造用のモールドを形成し、それを鋳造し、最終的な仕上げとフィッティングのために Jay Leno’s Garage に出荷しました。

規定された正面フライス加工、ドリル加工、塗装、研磨を実施した後、Hall 氏は Owen Magnetic の Buda エンジンの上の適切な位置に交換用バルブカバーを設置しました。　　　

Leno 氏によると、新しいバルブカバーの動作は完璧だそうです。「このことは、この種のテクノロジーについての素晴らしい点です」と、Leno 氏は言います。「もはや時間の経過でパーツが欠乏することがなくなりました。次の 100 年に向けて進む準備はできています」。

自動車のレストアプロセスをもっと効率化したいとお考えですか？詳細につきましては、今すぐ 3D Systems までお問い合わせください。