Bastech 社、3D Systems のモールドおよびダイの設計専用ソフトウェア Cimatron を使用して、コンフォーマルクーリングをレベルアップ

課題

形状に沿って冷却を行う射出成形により、一定の温度を維持する

ソリューション

  • Cimatron® 統合型 CAD/CAM ソフトウェア (3D Systems)
  • Geomagic® Control X™ 検査および測量ソフトウェア (3D Systems)
  • 3D Systems の LaserForm® 17-4PH (B) ステンレススチール材料
  • Moldex3D® プラスチック射出成型シミュレーションソフトウェア
  • 3D Systems の ProX® DMP 200 金属 3D プリンター

結果

  • 射出成形のサイクル時間を 22% 削減
  • 鋳型の後処理時間を 30 ~ 40 時間短縮
  • コストを 18% 削減

工業用射出成型当初から、成型表面の温度を均一に維持することは常に課題でした。

温度を均一に維持するために、メーカーはバッフル、バブル、およびヒートパイプを利用してきました。これらはブロックを一緒にラミネートし、複雑なドリルセットアップをその鋳型に付加してきました。

過去 10 年程にわたり、コンフォーマルクーリング—製造される部品の輪郭に自然に沿った冷却チャンネルを設計すること—が射出成型温度を管理するソリューションとして位置づけられています。しかし、コンフォーマルクーリングは鋳型作製のプロセスにより一層の複雑さを付け加え、ほとんどの工場では手に余るものとなっています。

手堅い手法

製造現場、アディティブマニュファクチャリングサービス、および機器販売のワンソースソリューションプロバイダであるオハイオ州を拠点とする Bastech 社は、温度の問題と格闘していましたが、コンフォーマルクーリングに新しいレベルのシンプルさ、効率、および経済性を導入する方法を見つけました。この企業は 3D Systems 認定ゴールドパートナーであることから、最新の 3D プリントテクノロジとインテリジェンスにアクセスすることができ、それが研究に役立ちました。

Bastech 社の飛躍的な発見は最新の 2 つのベンチマークテストに文書化されましたが、Cimatron CAD/CAM ソフトウェアおよび ProX DMP 200 3D プリンタに基づいています。Bastech 社は、3D Systems のパートナーである Moldex3D のソフトウェアを用いてコンフォーマルクーリングを採り入れた鋳型設計のシミュレーションを行い、完成したダイレクト金属プリント (DMP) 鋳型は Geomagic Control X の検査および計測用ソフトウェアで検査を行っています。

このプロセスは、デジタル世界と物理的な世界との簡単な統合によるエンドツーエンドの製造ソリューションを表し、すべて 3D Systems 製品を利用しています。

「3D プリントの包括的な機能を活用するように設計された強力なソフトウェアと、わずかな後処理で済み滑らかな表面をもつ十分に緻密な金属部品を提供するプリンタとの組み合わせは、カスタマイズされた冷却鋳型を構築するための非常に手堅い手法をもたらしてくれます」と Bastech 社 CEO、Ben Staub 氏は語っています。

設計と分析の自動化

Bastech 社の最初のベンチマークでは、極めて類似性の高い 2 つの部品を、体積、サイズ、およびデザイン構成の点での比較を行いました。同社は 1 つの部品をコンフォーマルコアで設計して 3D プリントで製造しており、もう 1 つの部品を標準的なスパイラルバッフルで設計し、従来の手段で製造していました。

Bastech 社は、見積から設計、機械的変更の適用、NC および EDM プログラミングにいたるまでの鋳型作成プロセス全体を網羅する Cimatron ソフトウェアを使用してコンフォーマルクーリング設計を作成しました。Cimatron にはクーリング設計と分析機能が含まれ、従来のドリルによるクーリングチャンネルと、3D プリントテクノロジを使用して製造するコンフォーマルクーリングチャンネルの両方をサポートしています。

Moldex3D との密接な統合により、Cimatron の射出成型デザイナーはクーリングチャンネルのレイアウトを最適化するための自動化金型充填分析を行う機能を手に入れました。

Staub 氏は次のように述べています。「Cimatron と Moldex の組み合わせにより、経験の少ないエンジニアがより良い品質のデザインを作成する際に役立つ専門のソフトウェアがもたらされました。経験のあるツール作成者に対する需要は、減少を続ける供給よりもはるかに大きいため、主要な考慮事項です」

Bastech 社のエンジニアリングマネージャである Scott Young 氏はさらに次のように語っています。「3D プリンティング向けにデザインするには、実際の要件ベースのデザインを完成するための構造的なサポートデザインの理解に加えて、材料費用および積層費用の削減を考慮する必要があります。この専門知識は Cimatron ソフトウェア内に組み込まれており、当社デザイナーが、複雑な内部チャンネルを定義するために CAD パッケージ経由でのナビゲーションを心配する必要なく、デザインを考えることが可能になります」

時間とサイクルの短縮

最初のベンチマーク用の Bastech 社のデザインは先細りのらせん状で、工場の組み立てに使用されるスペースコーンの内側に配置されました。コンフォーマルクーリングチャンネルは、一つの側面がコアの外側表面に平行でありつつも一定の距離を維持するような、ティアドロップ構造を回転して作成されました。断面を先細りのらせんに沿って実行することで、Bastech 社は ProX DMP 200 が一回の実行でビルド可能な形状を設計しました。

鋳型の設計に 2 日間かかり、ProX DMP 200 で3 日後には 3D プリントが完了しました。生産性を最大化するために、Bastech 社は鋳型向けの 3D プリントの実行に、他の Bastech 社プロジェクトに必要とされる部品を組み合わせました。

ProX DMP 200 は廃棄材料を削減し、製造スピードを向上させ、セットアップ時間を短縮し、高密度な金属部品を作成し、複雑なアセンブリを単一部品として生産する機能を提供して、従来の製造プロセスをコスト効率の良いものにします。

「これは成型側での当社の性能を強化するツールです」と Staub 氏は語ります。「ターンアラウンドの高いツールが得られ、製造現場内で障害となっている問題を解決します。EDM やドリル操作を削減することで鋳型あたり 30~40 時間節約でき、CNC や研磨作業を劇的に削減します」

逆流らせんコアでは、Cimatron ソフトウェアでのデザインや分析が、ProX DMP 200 の 3D プリンティングと組み合わされ、プログラミングと作業時間を 40 時間以上短縮しました。Young 氏によると、全コストを考慮に入れると、3D プリントしたコアは従来のメソッドと比較して $1,765 (18%) 超の節約になりました。

さらに重要なことに、実行中にコンフォーマルクーリング鋳型は低温を維持し、サイクルタイムを 22% 削減しました。

Staub は言います「温度を僅差で一定にコントロールできる機能があれば、サイクルタイムは、射出成型のほとんどすべてです」。

「温度を一定に維持できればできるほど、品質の高いパーツ一貫して成型できます」と Young は言います。「温度変化やサイクルタイムの低下によるたわみを取り除けば、非常に大きなパフォーマンスゲインになります」。

コンフォーマルクーリングで作成された 2 個の部品

コアを超える削減

2 番目のベンチマークでは、Bastech 社はコンフォーマルコアを超えて完全なコア、キャビティ、およびスライド鋳型設定を 3D プリンティング用に設計しました。この場合のゴールは、従来のデザインとコンフォーマルデザインの間で同じ温度 (110F) を維持し、それが冷却およびサイクルタイム結果にどのように影響するかを観察することでした。

Bastech 社はこのベンチマークでもコンフォーマルクーリング設計でプログラミング、機械加工、研磨にかかる時間の大幅な短縮を記録し、EDM にかかる時間は完全になくすことができました。コンフォーマルクーリング鋳型では、Cimatron ソフトウェアの自動化により、設計時間を 30 時間からわずか 7 時間に短縮することができました。3D プリント製の鋳型によって削減できたコストの合計は $2,505 に上り、16% のコスト削減を実現しました。

冷却時間は、従来の鋳型では 10.5 秒でしたが、コンフォーマル鋳型では 7.5 秒に短縮され、すべての重要なサイクルタイムは 14% 短縮されました。

「従来のものとコンフォーマルクーリングデザインの両方っで温度を同じに維持しても、コンフォーマルデザインのほうが液体をより広い表面面積に押し出すため、鋳型の冷却にはより有効でした」と Young は語っています。

主要な収益への影響 

「良好な冷却テクニックを長い間待ち望んでいました。当社は現在、鋳型作成者がキャビティ、コア、インサートをどのようにセットアップするか、さらにその後ダイレクト金属 3D プリンティングする際により良い決定を下す手助けとなるソフトウェアを入手しました」と Young 氏は述べています。

「射出成型向けの従来の冷却方法では、完璧な状況はありません。数か所にドリルで穴を開けることは可能ですが、3D プリンティング向けに設計されたコンフォーマルクーリング鋳型のように、チャンネル周囲の穴を曲げることはできません。当社ではもう、コンフォーマルデザインで妥協する必要はなくなりました」

Bastech 社は ProX DMP 200 プリンタをオハイオ州および University of Dayton Research Institute からの助成金で購入したので、結果を産業コミュニティに共有することも会社の使命です。Staub 氏は Bastech 社のベンチマーク作業があらゆる規模の製造現場に対して、コンフォーマルクーリングを達成可能なエンドツーエンドの強固なソリューションがあることを示してくれるよう期待しています。

「多くのツールメーカーが製造現場の向上のために 3D テクノロジを必要としています。当社の成功体験を共有し、ただ単に実行可能なだけでなく、収益に主要な影響を与える方法で実行可能であることを他の製造現場に理解していただきたいと思います」と述べています。